全国から、幅広い活動領域のキャリアコンサルタントが集いました!
キャリア支援者の「拠り所」をつくり、「実践」の輪をつなぐ
顧問・下村英雄先生のもと、社会正義のキャリア支援研究会が発足!
2023年12月23日(土)、第1回「社会正義のキャリア支援研究会」を開催しました。関東近郊をはじめ、北海道、静岡県、愛知県、大阪府、鹿児島県など、全国各地から30名を超える方々にご参加いただきました。企業、需給調整機関、学校・教育機関、地域・福祉など、幅広い活動領域でキャリア支援に取り組む方々が集い、下村先生のご指導のもと、活発な意見交換や参加者交流が行われました。
開催当日は、下村英雄先生(当研究会顧問、「社会正義のキャリア支援(図書文化社)」著者)の「社会正義のキャリア支援」に関するご講義、佐藤美礼さん(SJキャリア研究所 代表)の「ハラスメント被害者のキャリア再起支援」に関する実践事例発表を踏まえ、グループディスカッションの時間を設けました。
各グループのディスカッション結果については、下村先生からご丁寧なフィードバックをいただき、参加者全員で共有することにより学びを深めました。
また、今回の研究会には、法政大学キャリアデザイン学部教授の廣川進先生もご参加くださいました。参加者からは、「まさに学問と実践をつなぐ場だと感激しました!」など、喜びの声が寄せられました。
「参加して良かったです!」たくさんのお礼とメッセージをいただきました
【ご参加者から寄せられた感想等の一部です】
- 研究会を立ち上げてくださったことに感謝いたします。運営も、参加者にとても配慮していただいたと思います。継続参加したいと思いました。ありがとうございます。
- 大変充実した会でした。機会があればまた参加したいです。
- 扱われているテーマが興味深く、テーマの理解深耕のみならず、そこへ関わるキャリアコンサルタントの成長へも繋がる機会と感じました。
- アットホームな雰囲気で、下村先生や佐藤先生との距離が近く感じられ、参加者同士もポジティブに発言できる安心感がありました。
- 佐藤先生の恩師である、法政大学大学院の廣川進教授も参加されており、まさにキャリアコンサルティング/キャリアカウンセリングの「学問」と「実践」をつなぐ場であると大変感激しました!
- オンライン開催であっても参加者全員が交流・発言できるため、一人で初めて参加する場合も参加しやすいと感じます。様々な視点からの学びが多く、2時間があっという間でした。
- 普段、研究会というものには敷居が高くて参加できないので、とても嬉しかったです。2時間の時間設定も参加しやすかったです。
- 本研究会のような活動がキャリアコンサルタントの世界のみならず、社会へのメッセージとして、社会・組織・制度を変えていく契機になっていくのでは、と希望を持てる時間でした。誠にありがとうございました。
開催当日の研究会の様子をお伝えします(開催内容、参加者の声など)
今回の研究会で行われた「講義」、「実践事例発表」、「ディスカッション、意見交換」について、当日の発表資料および参加者の皆様から寄せられた感想やコメントから、その一部をご紹介します。
- 講義
「社会正義のキャリア支援研究会」
―「社会正義」の名のもとに集う意義と重要性―
下村英雄先生(当研究会顧問、「社会正義のキャリア支援(図書文化社)」著者) - 実践事例発表
「ハラスメント被害者のキャリア再起支援」
~ ジャニーズ問題、# Me Too、その先へ ~
佐藤 美礼さん(SJキャリア研究所 代表) - ディスカッション(グループワーク、意見交換)
「ハラスメント被害者のキャリア再起支援」のアドボカシーについて考える - 次回の開催告知
2024年3月23日(土)10:00-12:00
オンライン(Zoom)開催
1.講義
下村 英雄 先生(当研究会顧問、「社会正義のキャリア支援(図書文化社)」著者)
「社会正義のキャリア支援研究会」 -「社会正義」の名のもとに集う意義と重要性-
参加者の学び、気づき、感想など(講義全体を通じて)
- 下村先生がこのような研究会を開いてくださり、社会的に弱い立場に陥っている方々の支援にキャリアコンサルタントが取り組める機会が増えるのではないかと、とても心強く感じております。研究会に参加できて嬉しいです。ありがとうございます。
- 下村先生と直接話し学べる機会が持てることが大変刺激的で嬉しいです。自身の活動エリアにどのように社会正義を取り入れるかを意識して参加するようにいたします。
- 下村先生の『社会正義のキャリア支援』を拝読し、研究会で実際に先生のお話を聞かせていただきました。御著書からも、でしたが、お話からも、先生の温かさが伝わってきました。なんだか元気が湧いてきました。支援者としての意義を改めて感じることができ、これから進むべき道がさらにクリアになったように思います。ありがとうございました。
- 組織内で、ハラスメントやいじめを受けた後輩や同僚の相談を受けた経験、自分自身のハラスメント当事者の経験や、発達障害の方やがん患者との関わりから、キャリアコンサルタント資格を取得しました。しかし、資格取得後、求人情報を見るとそのような方々の支援に携わることは難しいと感じました。最近少しずつ携われるようになってきたと感じている時に、この研究会の情報を頂き、とても大切だと思う取組みに参加でき、とても嬉しく感じております。ありがとうございます。
- 「本来重視していたはずの社会正義という価値観」、「自身がキャリアコンサルタントになった理由」を下村先生から直接リマインドをいただき、大変刺激となりました。
- 日本のキャリアコンサルタントが「企業領域」が中心で増えている一方、日本以外の国では、キャリア支援は社会政策ということに改めて気づかされました。下村先生の「2:6:2」に関するお話もとても感銘を受けました。今後さらに「主流、中心的、多数派」のキャリアから外れた方々の支援に力を入れていきたいと思いました。
- 本日のお話を伺い、諸外国ではキャリア支援が社会政策であるということの意味・意義を再確認することができました。今後は日本のキャリアコンサルタント業界においても、「主流・中心・多数派」から外れた方々のキャリア支援に一層取り組む必要があり、「個の支援」はもとより、「社会正義のスタンスで、アドボカシーまでも実践できるキャリアコンサルタント」が重要になることを実感しました。
- 日本のキャリア支援は世界的に見ても異例、大企業男性正社員から外れた方へのキャリア支援、成長・上昇・自律以外での支援、格差は雇用で生じる等、今後取り組むべきことへの問題提起もあり、どの分野でも社会正義という価値観を取り入れることができることを改めて考える良い機会となりました。
- 多くの「階段を上る方式で表される成長や発達」でキャリアを捉えることに常日頃から違和感がありました。社会正義の視点は小さな現場を水平に広げていく感覚があり、腑に落ちた思いがありました。
- 私が住んでいる地方やその教育現場では、いわゆる「キャリア」「キャリア教育」という言葉はあるものの実体を伴っていないのが現実です。これらのものは、今の日本においても、まだ一部の人のもの、というのが私の実感です。学校現場での「キャリア教育」の可能性を信じている私ではありますが、こうした現実に直面し、越えるべき山の大きさ、なすべきことが山積であることに、己の無力さを感じる日々でもあります。それでも、できることを続けます。一人ひとりの人間の可能性も日本の未来も諦めたくないと思っており、その思いが私を「静かなる革命」に結びつけてくれているのだと、先生の御著書とお話が、気づかせてくださいました。
- 海外の社会正義の流れ、ケニアやアフリカ先進国の動きなどの情報がとても貴重でした。
- 海外の状況等を参考に今後の取組み等について考える、大変有り難い機会となりました。
- 今回のご講義でとても分かりやすく、貴重な内容を整理してくださったことで深い学びになりました。特にサルタナの解説は非常に参考になりました。「キャリアガイダンスにおけるポストコロニアル的転回、普遍主義と地域主義の弁証法」の部分など、均質的な日本社会でのキャリアの考え方の中で、ほぼ意識されてこなかった視座であると思います。既存のキャリアコンサルティングの世界でまず論じられない、サイードやバトラーなどの視点も含意されているようにも感じました。
- 私は教育分野で支援をしていて、自分自身の無力さを感じたり、支援に行き詰まり疲弊してしまう現実があります。「自分の持ち場で、自分ができる範囲で、自分なりに、社会正義の実現に貢献する」という先生のお言葉に心が救われました。
- 下村先生のご講義を聴きながら、自分自身の支援活動の意義のようなものを改めて感じることができました。ありがとうございました。人としても支援者としても私自身ができることはちっぽけなことですし、時に挫けそうになることもありますが、それでも、自分の持ち場で、今できる限りのことに愚直に取り組んできました。これからも、日本の地方の片隅で、私は「静かなる革命者」のひとりであり続けます。これを胸の奥底に、これからも歩みます。
- 「社会正義のキャリア支援に関心を持つ人は孤立しやすい」と聞き、確かにそうだと腹落ちしました。
- 自分のできることから行うという「ローカライズ」の考え方を知ることができて良かったです。また、社会正義のキャリア支援に関心を持つ人は孤立しやすいことも頷けます。専門的なローカライズと社会正義のユニバーサルに住環していくことが重要ということも勉強になりました。
- 「Think Globally , Act Locally」の意味がよく分かりました。現場一番でやってきた自分のキャリアを振り返っても、特に「足元の持ち場」を大切にする考え方は、非常に共感できるものです。
- 私自身は日本のキャリアコンサルティングの中で、引っかかっていたことがあります。それはキャリアコンサルタントが、「既存の制度の再生産」の役割を果たすことが中心になっているということです。例えば、ナラティブ・アプローチが取り上げられていながら、テーマが「キャリアコンサルタントとCL関係に固定される」傾向が強く、社会・組織・制度との相互作用に開いていないことが気になっておりました。また「社会正義」の議論が欧米に比べてほぼ存在しておらず、唯一、下村先生だけが深い研究をなさっているという印象です。このことにフーコー的な意味づけもしたくなっております。しかしながら、今回の研究会でグループごとに「アドボカシー」について話し合ったことは、とても有意義でした。まさに“Act Locally“ を体感する時間だったと思います。
2.実践事例発表
佐藤 美礼さん(SJキャリア研究所 代表)
ハラスメント被害者のキャリア再起支援
~#MeToo、ジャニーズ問題、その先へ ~
参加者の学び、気づき、感想など(実践発表全体を通じて)
- 「社会主義のキャリア支援」の「実践」を具体的に理解する上で、非常に参考になる発表でした。同時に、「実践力=カウンセリング力 + 周囲環境への仕掛け力」がキャリアコンサルタントの存在価値を明確化していく上で非常に重要であり、効果的であり、且つ、我々が目指していく水準であることを再認識させて頂く機会となりました。
- 佐藤先生の取組が多岐にわたり、また、当事者としての実経験をもとにした、非常に詳細な内容かつ本質を掴んだ内容であると、とても感銘を受けました。現在、自分が行っているカウンセリング現場で共感できることや、難しいと思うことについてヒントを頂けて、とても勉強になりました。
- 前々から佐藤さんの取り組みについて、直接お話を伺いたいと思っておりました。大変刺激になりました。
- 自分にとって意識できていなかった活動エリアであり、新鮮な内容でした。今後の研究会へ参加することで認識をあらため、知識をつけていきたいと思います。
- 社会において、これだけ大きな話題となっているジャニーズ問題について、「佐藤先生のように『ハラスメント被害者のキャリア再起支援』という視点を持つことができた人は、加害者側やマスコミ等を含め、一体どれだけいるのか?」と、佐藤先生に頭が下がる思いです。実際、私自身もキャリアコンサルタントでありながら、その視点が抜け落ちていたことに気付かされました。
- 「被害を受けた方々が人生を立て直す」ための支援が殆ど無いことを改めて突き付けられ、キャリア支援に関わる人全体に責任があることを感じました。わかってはいたはずなのに、見て見ぬふりをしていたことに気付きを促されました。
- 佐藤さんの「Me tooがゴールではない」という発言が印象深かったです。当事者の方へ、一過性の支援ではなく、継続的な支援が必要だと思いました。
- 恥ずかしながら、佐藤先生のお話を伺うまで、自分には、「ハラスメント被害者が就業上の危機にあり、キャリア再起支援が必要である」という認識が希薄でした。キャリアコンサルタントとして、目から鱗が落ちる思いです。
- 国や行政等の施策としても、ハラスメントの「防止・対策」だけでは片手落ちであり、ハラスメント被害者が失ったキャリアを立て直すための「再起=再自立(再就業)」の支援に取り組む必要があることを痛感しました。
- 佐藤先生が仰っていたように、「再起=再自立(再就業)」とは、ハラスメント被害に遭った方が「もう一度、自信と誇りを持って働き続けられる」ことであり、まさに「国家資格」を称する私たちキャリアコンサルタントこそが、その支援を担うべき重要な役割にあると再認識しました。
- 確かに、ハラスメントを受けた時に通報する窓口はあっても、立ち直る支援は乏しく、必要だと痛切に感じます。特に、日本の組織はハラスメントの存在を出来れば認めたくない。恥の文化が悪く関係しているように思います。
- ハラスメントを訴えるところまでは整っているが、その後のキャリアについて個人任せにしない仕組みが必要だと感じました。(自分が現在所属している組織の)ハラスメント防止委員会の規程に再起の支援まで載せたいと考えました。
- まさに、ハラスメント被害者の支援の中に「キャリア再起支援」が必須だと思います。医者・心理支援・法律家などの専門家はすでに支援者として存在していますが、被害者のキャリア再起という観点が今の支援には無いように思います。被害者が被害を真に乗り越えるためには、その先に被害者が納得のいくキャリアがあってこそ、です。
- 佐藤先生の取り組まれている1つ1つの活動こそが、今後のキャリアコンサルタントの「支援力の質向上」を語る際の「KPI(評価指標)」になると感じました。ぜひ、またの機会にいろいろなご経験の深堀り部分でお話を伺えればと思います。
- 佐藤先生がハラスメント被害者のキャリア再起支援について、社会的重要性を提起するに留まらず、行政・NPO・大学・企業等において地道に実践活動を続けてきたことに改めて感銘を受けました。ゼロから1を立ち上げることには苦労も多いと思いますが、支援事業の企画立案から実施まで一気通貫にやり抜く力、様々な組織と連携協働していく人間力が本当に素晴らしいと思います。
- 私自身も、上司からのパワハラで目指していたキャリアを閉ざされ、辛い思いをした経験から現職を目指しました。同じようなご経験から、佐藤様のお話はとても心に響きました。様々なプロジェクトを提案され、実践されている前向きなお姿をとても素晴らしいと思いました。
- ハラスメント被害者が失った「キャリア」とは、単に仕事や就業環境のことではなく、廣川先生が仰るように「人生の意味」であり、それを過去に遡って「再発見」することが、被害を乗り越えて新たな人生をつくる際の力になると感じました。
- 私も、「自分の言葉で語ること」を支援するキャリアコンサルタントとして役割を果たせるように、キャリア支援におけるナラティブ・アプローチなども学んでいきたいと思います。
■一般財団法人雇用開発センター
「職場の人間関係・ハラスメントに悩む相談者のキャリアコンサルティング」講習
■NPO日本キャリアコンサルタント協会
「転機・危機のキャリアコンサルティング」講習
- ハラスメントの法的解決方法や心のケアはニュースでも特集されていて想像がつきやすかったですが、佐藤さんの指摘があるまでキャリア支援に全くと言っていいほどスポットが当たっていないことに気付けていませんでした。パワハラ、セクハラの被害に遭われた方の相談にも対応することが少ないながらもあるので、もっと真摯に対応できるよう学びを深めたいと思いました。
- ハラスメント被害者の相談にあたるときに気をつけることが講義の中で挙げていただいた事例以外にもたくさんあると思うので、教えていただきたいです。もし可能であれば、ハラスメントのケーススタディなど、現場での相談方法を勉強したいと思いました。
【 NPO日本キャリアコンサルタント協会:インタビュー記事 】
- ご自身の体験を語っていただいたことに深く感謝いたします。信念をもって、社会に貢献する素晴らしいご活動されていることが伝わりました。自分にはとても出来ることではありませんが、素敵な刺激をいただきました。ありがとうございます。
- 私自身、ハラスメントを受けた経験から、自分のように困る人、弱い立場にならざるをえない方をサポートしたいという気持ちからキャリアコンサルタントの資格を取得した次第です。そのため、佐藤先生のご発表に共感して拝聴し、そのご活動の素晴らしさに勇気を頂きました。ありがとうございます。
- 私は、ハラスメント研修や外部相談窓口を担当しており、ハラスメント被害者・加害者のキャリア支援に取り組みたいと思っております。機会がありましたら、佐藤様とご一緒に活動させていただければ嬉しいです。
- 佐藤さん自身が期せずして遭遇した世界(=ハラスメント問題によるキャリア喪失、社会的孤立)を想像すると、「よくぞ、生きていてくれた」「よくぞ、ここまで再起した」と思っています。そして、言葉では言い尽くせない想いが湧いてくるのです。キャリア支援者の仲間としても、人としても、佐藤さんを敬愛して応援し続けます。
3.ディスカッション(グループワーク、意見交換)
「ハラスメント被害者のキャリア再起支援」のアドボカシーについて考える
- グループ内での話し合いは、とても楽しかったです。当初、アドボカシー=政策提言や権利擁護といった目線だったのですが、話し合う中で、まず身近な「小さな枠を外す」ことの大切さを感じました。再起支援の場面でも、きっとそのような身近な事柄から、真摯に環境に働きかけることで「やり直しができる社会」に繋がっていくのかもしれないと感じました。私ができることを今後、「身近なところから」「小さな枠を外す」“Act Locally“ をベースに考えていきたいと思います。
- 企業内キャリアコンサルタントは、社内のキャリアのみに完結しやすい。そのため、企業外においてもキャリアコンサルタントが相談を受けることができる場所(相談窓口)の増設と、その活用を促す広報強化が必要だと思います。また、外部のキャリアコンサルタントであっても、企業に対して「社員からハラスメントの相談事例がないか」等と働きかけることで、企業側も何らかの問題意識を持ち、対応する可能性もあるのではないでしょうか。
- (グループのメンバーと)はじめにアドボカシーという言葉の意味あいを共有しました。私自身は、ハラスメント相談については部外カウンセラーとして関わっている立場上、大きく働きかけることは難しいと感じており、アドボカシーについてはできていない、と答えました。しかし、それでもカウンセリングが終了した際に、人事の方にハラスメントの制度の組織内のルールを確認したり、その関連の相談があるという概要を伝えることはあるため、部外者ながらも組織に働きかけていることにはなるのかと、少しはできていることもあるかなと後から考えました。
- どこからハラスメントとして声をあげていいのか悩むことが多いのでは、と考えます。被害者の感じ方だけで括られてしまうと、心身が限界にきている人は自覚できないままになってしまうのでは、と心配になります。そうした潜在的な被害者が顕在化できるように、こういうことをされたら声を大にしてもいい、というような「被害者にならないために」というハラスメント教育が普及できたらと思います。
- 医療・福祉関係者は多職種連携が構造的に実践されているように思います。キャリアコンサルタントの方々も同じ厚生労働省による国家資格なので、多職種連携が構造的にできるようになる教育訓練の場が増えても良いかと思います。
- ハラスメント被害者のキャリア再起支援については、社会的に重要な課題テーマながらも、キャリアコンサルタントで実践対応できる人が少ないと思います。キャリアコンサルタント業界全体で人材育成や社会的啓発に取り組む必要があると感じました。
- 国や自治体の施策(例:孤独・孤立対策 等)と連携できること、社労士会・弁護士会・医師会等と協働できることなどを考え、アドボカシーと実践を広げていけたらと思います。
- 私自身は、活動を通じて、企業内での「ハラスメント体制」の構築や「ハラスメント相談窓口」の設置の重要性をずっと訴えてきています。ただし、企業内では実際には十分機能せず、被害者にとって不利になることも多くあります。また、行為者も加害者のレッテルを貼られ、やり直しのきかない人生を送っています。企業内のキャリアコンサルタントの方と協働して、このような被害者・行為者の「やり直し」ができるシステムを作り、その実践例を厚生労働省をはじめとする行政やSNSを使った情報として広めていくのはいかがでしょうか。
- アドボカシーの実践に際しては、(これは長年言われてきたことですが)「キャリアコンサルタントの存在意義や役割等が充分に認知されていない現状」を業界全体として看過することなく、キャリアコンサルタントに関する社会的理解促進に業界を挙げて一層取り組む必要があることを再認識しました。
本研究会にご参加くださった、法政大学キャリアデザイン学部教授 廣川進先生からのコメントです
~第1回 社会正義のキャリア支援研究会 全体を通じて~
下村先生も、佐藤さんも、すごく「熱」がありますね!
「2・6・2」(組織団体における人材パフォーマンスの構成比率)の考え方でいえば、企業などでは「上の方の『2』をいかに伸ばすか」という話が多い中、社会正義というのは対極にある考え方じゃないかと思いました。
そして、「そこに光を当ててこそ、キャリアコンサルタントの仕事ではないか」ということを改めて思いました。
学会や企業では、どうしても、利潤とか生産性という話になるんですけれど。
アドボカシーやエンパワメントというものは、「キャリアコンサルタントが横断的に動いていく」ことがものすごく必要なんだな、と改めて感じました。
熱心にご参加くださりコメント等をお寄せいただいた皆様、廣川進先生、ありがとうございました!次回は3月23日(土)にオンラインで開催します。皆様とお目にかかれることを楽しみにしています。(社会正義のキャリア支援研究会 事務局)
【開催告知】
第2回 社会正義のキャリア支援研究会
3月23日(土)10:00-12:00
オンライン(Zoom)開催
Peatixからお申し込みください(➡Peatixイベントページ:こちらをクリック!)
研究会には、各回の単発参加も可能です。
お一人でも、紹介者無しでも、大歓迎です!
キャリア支援の相互研鑽&仲間づくりの「拠り所」として、お気軽にご参加ください☺
多くの方々のご参加を心よりお待ちしております!
★全回の開催報告は、こちらからご覧いただけます★