第2回研究会 開催報告

目次

●キャリア支援者の「拠り所」、「実践」の輪をつなぐ学びの場
今回も全国各地で活躍中のキャリアコンサルタントが集いました!

 2024年3月23日(土)、第2回「社会正義のキャリア支援研究会」を開催しました。今回も、関東近郊をはじめ、北海道、新潟県、福井県、静岡県、愛知県、兵庫県など、全国各地から延べ40名が参加し、社会正義のキャリア支援に関する学びを深めました。
 開催当日は、下村英雄先生(当研究会顧問、「社会正義のキャリア支援(図書文化社)」著者)のご講義「身近な支援から世界につながる支援へ」、安藤良至さん(ハローワーク静岡 就職支援ナビゲーター 刑余者就労支援担当)の「刑余者のキャリア支援」に関する実践発表、グループディスカッションなどを行いました。
 なお、実践発表においては、久木野純子さん(株式会社小学館集英社プロダクション 静岡刑務所 事業責任者 分類・教育業務責任者)からも、刑余者のキャリア支援についてご丁寧な説明をいただきました。

「講義、発表、フリーディスカッション、今回も大変充実していました!」

【ご参加者から寄せられた感想等の一部です】

  • 短時間で学びも多く、有意義な時間を過ごせました。生の事例がとても参考になりました
  • 2時間にポイントがぎゅっと詰まっていて、大変有意義な時間でした。ありがとうございました。
  • 多くの実践者の方々が参加されている、とても参加し甲斐のある、数少ない集いの機会と感じております。引き続き、今後の企画を楽しみにさせて頂きたいと存じます。
  • 全国のいろいろなご経験を持つ方からお話が聞けて勉強になります。
  • 今回も新しい視点からの学びが得られました。
  • 前回に続き、今回も大変有意義な内容でした。ありがとうございました、次回も参加いたします。
  • 初めて参加しました。素晴らしいテーマ設定、登壇者選定、ありがとうございます
  • 問題提起をいただけて、まだ考えています。大変勉強になります。
  • 第2回研究会も濃く楽しい会でした。下村先生、主宰者の佐藤さん、運営担当の上坂さん、ありがとうございました。キャリア支援は本当に幅広いですね。今後もさまざまな分野の実践について知りたいと思います。よろしくお願いします。

開催当日の研究会の様子をお伝えします(開催内容、参加者の声など)

今回の研究会で行われた「講義」、「実践事例発表」、「ディスカッション、意見交換」について、当日の発表資料および参加者の皆様から寄せられた感想やコメントから、その一部をご紹介します。

INDEX
  1. 講義 
    「第2回 社会正義のキャリア支援研究会」
    ―身近な支援から世界につながる支援へ―
    下村英雄先生(当研究会顧問、「社会正義のキャリア支援(図書文化社)」著者)
  2. 実践事例発表 
    「刑余者のキャリア支援」
    ~ 白黒の世界に彩りを加え、人生を再生 ~
    安藤 良至さん(ハローワーク静岡 就職支援ナビゲーター:刑余者就労支援担当)
  3. ディスカッション(グループワーク、意見交換)
    「刑余者のキャリア支援」について考える
  4. 次回の開催告知 
    2024年6月29日(土)10:00-12:30

    オンライン(Zoom)開催

1.講義

下村 英雄 先生(当研究会顧問、「社会正義のキャリア支援(図書文化社)」著者)

第2回 社会正義のキャリア支援研究会」 -身近な支援から世界につながる支援へ-

当研究会顧問
下村 英雄 先生

参加者の学び、気づき、感想など(講義全体を通じて)

  • 下村先生、いつも有難うございます。「社会主義のキャリア支援」の側面は、本当に実践を通じていろいろな取り組みをされている方ほど、深ーく腹落ちするものだと思いますので、ぜひ継続したこの様な機会をご提供いただけると幸いです。
  • 社会正義のキャリアコンサルティングについて、具体的なお話を伺うことができて、大変学びになりました。書籍だけではなく、実際にお話を伺うことができて、大変うれしく思いました
  • 前回、今回ともに、通常の業務の中では到底気づくことができない”気づきをいただけることに感謝しています。
  • 下村先生の社会正義のキャリア支援のお話を聞けば聞くほど、自分のキャリア支援についての拠り所になっているように感じます。
  • 下村先生のお話を聴くことは、私にとって「思考のプロセスや培った環境や風土を乗り越えて、社会で潰れそうな人々と向き合いたい」という壮大な課題にも向き合える機会となります。先生を通してやっと知ることができるのです。これからも、身近な問題は地続きであり連続していることを肝に銘じ、大きな思考でキャリアコンサルタントとして人として臨んでいきたいと思います。先生、いつもありがとうございます。
  • 今の立ち位置に対し、視点を変えた気付きを促すお話をありがとうございました。
  • 社会問題に関心を持つ機会をいつもいただき、ありがとうございます。時代の背景、文化的なことを学ばせていただいております。
  • なぜこのキャリア支援の領域に足を踏み入れたのか・・・人により動機は様々だと思いますが、下村先生のおっしゃる通り、職業やキャリアに関する問題で何かしら心を痛めた経験があるのだろうと思いました。働く人、働こうとする人、働いていた人・・・誰しもそのような経験がある、と言えるのかもしれません。そして、少なくとも「支援していく」ということを意識している人々であるのだろうと感じました。
  • 社会正義について日本の第一人者として尊敬しています。学ぶ側の目線で語っていただくことに感謝しています。アドボカシーについても、もっとお話を聴いてみたいです。
  • 社会正義という難しい課題について、いつも優しい語り口調でわかりやすくお話しいただけて、とても嬉しく思います。
  • 下村先生だからこそ伺えるお話を、いつも興味深く拝聴しています。ありがとうございます。
  • パレスチナ若年労働市場のキャリア支援は、社会正義のキャリア支援の本丸ということでしたが、個人のみではなく、社会問題→世界全体の問題解決であることの意味が自分の中でストンと落ちました。
  • そもそも欧米のキャリア理論が当てはまらない中でも、その国、またはその対象者に対しての支援をどうやっていくのかということも考えさせられました。
  • 前回は参加していないのですが、アドボカシーがとても大切になってくるということもわかりました。今回初参加でしたが、衝撃を受ける内容でした。次回も是非参加させていただきたいです。
  • キャリアコンサルタントとして活動するようになってから、国内だけでなく海外の出来事にも目を向けるようになりました。すべて繋がっている中で、自分自身ができることを考えるのですが、とても難しく感じます。先ずは、知ることから実践していきます。
  • パレスチナの事例を伺い、西洋のキャリアコンサルティングがどこでも通用するわけではない、当然日本には日本的なキャリアコンサルティングがあって良いのだと感じた。
  • まず、日本に生まれたことの幸せを実感し、感謝しました。しかし、それだけではいけない。何かしなければいけないという想いが募ります。まずは、知ることから始めたいと思います。
  • 日本でのキャリア理論は「輸入されたもの」だと嘆く声を聞いておりましたが、キャリア支援の実践方法は世界に共通しているというお話に、輸入されたからこそ良い面があった、との気付きになりました。
  • 大変わかりやすかったです。このような場を設けてくださり、ありがとうございます。次回も是非参加したいと思います。
  • 今回取り上げられたパレスチナのキャリア支援ですが、こうした紛争地域においてキャリア支援がなされているということを初めて知りました。
  • 欧州におけるキャリア支援の実践を知り、世界の社会問題と我々とは地続きであること、私たちキャリア支援者の活動領域が地球規模であること、キャリアカウンセリングの重要性など、あらためて自覚する機会をいただきました。
  • 目前の一個人への支援が社会へと繋がっている「地球のどこにいようとも、そこに誰かがいる限り、我々にはできることがある、この想いも強まりました。日々の活動への励みと自信につながります。ありがとうございました。
  • “カウンセリングより「キャリアカウンセリング」が優先度・重要度ともに高い”と伺い、自信を持ちました。
  • 外国人留学生の支援に関わる私にとって、パレスチナのキャリア支援についての講義は、学ぶことが多かったです。また、「サルタナが考えているのは、そもそも『キャリア』『デザイン』のような考え方がMENA地域では根付かないこと」というお話が印象深かったです。
  • 私自身は、日本語学校に在籍するモンゴル、ネパール、バングラディッシュといったアジア圏出身の留学生教育に携わっていますが、実践の現場で同様のことを感じています。自分の人生を中長期的に見据えて、デザインしていく視点をもってほしいと考えながら進路指導をする教師と、”今”を生きる留学生たちの考えにズレが生じている面があります。留学生側は語学力、経済力、年齢や在留期限といった時間的制約を考えた結果の生き方を選択しているのだと思いますが、教師側から見れば、刹那的な生き方をしているように思い、支援の在り方を模索しています。
  • 「社会情勢が相当に厳しい国においても、キャリア支援は優先させるべき事柄として認識されている。自信と自覚をもってキャリアの仕事に携わって欲しいとのメッセージが胸に響きました。
  • 下村先生がパレスチナについてのお話で「(キャリア支援は)大きな問題に地続きだ」と仰ったことが印象的でした。その後の(実践発表で)刑余者の就職における偏見の話が出ましたが、まさに強度の別はあるとしてもパレスチナの問題と根幹は何ら変わらない、地続きだな、と気付きました。
  • 偏見は人間が命を護る為に必要な警戒シグナルからくる本能であり、強い固定観念で固められているものだと思います。この偏見を実体験(実体験により安全であることを本能で信じられるようになる気持ち)無しで安心して意識を変えられるのならば多くの誤解が解けると思い、私たちの関わりの重要さを改めて胸に刻みました。
  • パレスチナの問題は自分とは身近ではなく、これまで深く考えて来なかったが、今日の講義をお聴きして「キャリア支援は地続きである」という言葉に、社会正義のキャリア支援の視点の大切さを認識できた。
  • 子供時代の私はテレビっ子でした。好きな番組は、自然や科学、遠い外国のドキュメンタリーでした。こうした番組に好奇心を刺激された私は、「大きくなったら、いつかここに行って自分の目で見るんだ!」とワクワクしたものでした。 学生時代に実際にその場に立った時、長年の夢が叶った感動もありましたが、途上国の現実も目の当たりにし、なんとも言えない切なさ、怒り、この世の理不尽に対する忸怩たる思いを抱えました。もちろん、こうした想いは日本にいても感じるものですが、日本を一歩出た途端、その比にならない問題があり、それに対峙した時、若かった私は大国に生まれた意義とその責任を自覚しました。以来、このことが私の奥底にあります。 下村先生のお話やご著書から、先生の中のそうした存在が見えるような気がしております。
  • 「キャリア支援を通じて、本人のみならず、身近な社会問題の解決から、世界全体の問題解決にまで関わっているのだということを確認したい」というまとめから、意識と自覚を持って支援することの大切さを感じました。ありがとうございました。  

2.実践事例発表

安藤 良至さん(ハローワーク静岡 就職支援ナビゲーター:刑余者就労支援担当)

「刑余者のキャリア支援」
~白黒の世界に彩りを加え、人生を再生 ~

安藤 良至 さん

参加者の学び、気づき、感想など(実践発表全体を通じて)

  • 普段なかなか知ることのできない貴重な情報共有を有難うございました。我々支援者も一人の人間で、それぞれに限界があるからこそ、この様な機会を通じてのリソース拡張はとても重要なことだと改めて感じさせて頂きました。有難うございました。
  • 素晴らしい活動だと思います。なかなか機会のない私どもにも触れる機会をいただき、小さな行動を起こしたいと思いました。刑余者のみなさんを温かい社会でお迎えできる国づくりに参加したいと思いました。どうか大きなうねりが生まれますように。
  • 刑余者という言葉も知らなかったので、全てが新鮮で大変学びになりました。私自身ができることについて考えてみたいと思います。
  • 飾らずに現状と自身のお考えを共有してくださり、ありがとうございました。とても深く考えさせられました。
  • 刑余者のキャリア支援については、とても一筋縄ではいかないと思いますが、さまざまな工夫をされて関係機関同士が連携し、協力して取り組んでおられるお姿に、深い尊敬の念を抱きました
  • 貴重なお話を聞かせていただき勉強になりました。刑余者のキャリア支援は、門外漢の私からしても、その厳しい現実は想像に難くないです。困難を伴う支援かと思いますが、こうした支援が我々の社会にあることに、我々の日本社会も捨てたものじゃない、という救いと希望を感じました。ありがとうございました。
  • ハローワークで実際に支援されている安藤様が、最初にデータを提示していただいたので、理解が進みました。再犯率は高いと思っていましたが、想像以上でした。残念な思いと、「仕事を軸として生活を立て直すことが何とかできないものか」という思いが湧きました。
  • 「再犯率と有職率の関係」や「現在の取組状況」などは初めて知る内容であり、有益な内容でした。地方行政として、地域全体として、何ができるのか、何をすべきなのか考えさせられる良い機会となりました。まずは地元ハローワークで地域の情報を収集し、地域企業への情報発信を考えようと思います。
  • お好み焼きの「千房」様など、協力雇用主でよく耳にする企業様がいらっしゃいますが、他の社員の理解を得るなど、配慮すべきことは多くあると思います。当事者の守秘義務を担保するのは難しいですが、成功事例を知る機会があるとさらに広がっていくのだろうか、など、いろいろと考えさせられました。
  • 身近にあることにもかかわらず、知る機会のない内容で、大変興味深く聞かせていただきました。ありがとうございました。やはり、現場に携わっておられる方の話を聞けるのは大変有益でした。
  • 「白黒の世界に彩りを加える」という言葉がとても印象に残りました。その世界から、外の世界に出てきた刑余者の目に、新しい世界がどう映っているかも想像しながら関わる必要があるのだろうな、と思いました。
  • 「刑余者」という言葉すら知らなかった自分だが、とても学びになった。差別や偏見を持たれている人のキャリア支援は、キャリアコンサルタントとしては、単にジョブマッチングではなく、世の中の仕組みや企業の受入れ体制を変えるという環境への働きかけとともに、カウンセリングを通して刑余者の「生きる意味」を見つけて再スタートを手伝うという、とてもやりがいのある大変な仕事だと思った。
  • 普段はあまり考えることのないテーマでした。映画やテレビなどの作品を通して知る世界には、様々な背景を抱えて苦しんでいる人が大勢います。一人でも理解者がいること、安心できる居場所があることなどの大切さを感じます。
  • 小学館集英社プロダクション様が、刑余者の支援をされていることは存じ上げていましたが、直接お話を伺える機会は貴重でした。公共事業に事業拡大していく企業が多い中、「教育」という共通項がある、という背景が腑に落ちました。
  • ハローワークの視点だけではなく、連携しながら支援していくということを伝えてくださったので、大変勉強になりました。
  • 究極の就労機会提供の活動だと感じました。既に取り組まれておられるかもしれないのですが、「刑余者のうち就労された方々からピアサポーターを養成し、後輩たちの就労において我々支援者と共に企業経営者達のバイアス解除に貢献していただく」、「地域の中小企業診断士協会への働き掛けを通じ、恒常的に就労支援活動の状況を中小企業の経営者へシェアしていく」等の取り組みの可能性もあろうかと感じていますが、如何でしょうか。
  • (パレスチナのキャリア支援に引き続き)事例発表もかなり衝撃的な内容でした。今の彼らを見てほしいという言葉が印象に残りましたが、その見てもらえる「今」にするまでの支援や、受け入れ側への教育、支援等もとても大切だと思いました。まさに個人ではなく、社会全体としてどのように取り組んでいくのか、キャリア支援していくのかが問われている事例だと思いました。現実は厳しいという事例でもあったと思います。深く考えさせられました。
  • 難しい相談者への支援、熱い思い、とても勉強になりました。
  • 日常生活で考えることがなかなかないお話だったので、気付きが多かったです。偏見や思い込みが刑余者の方々の生きづらさに繋がっているのではと思うと反省することが多いです。
  • 難しく特殊な支援に携わっていることを尊敬します。途切れのない支援を実現すべく連携して取り組んでいきたいと思います。

【参考】ART FROM プロジェクトについて(テレビ静岡ニュース:YouTube動画)
「“刑余者”たちの作品展…人物画や風景画に短歌 開催の狙いは?官民協働で社会復帰を支援 静岡」

  • 白黒の世界から彩りのある世界へ。「むしょリク」。まず、目立つことで知ってもらうことは大切ですね。また、派手な会場設営は、むしろ安全安心な場所。JOBSONICの様子も見てみたいな、と思いました。
  • 今の彼らがどのように取り組んでいるのかを知ってもらうこと。まさに働きかけですね。貴重なお話をありがとうございました。
  • 民間企業が入って、「3つの活動」「アドボカシーが大事」まで考えていることが素晴らしい
  • 「刑余者の特性を踏まえた提案」についてのお話は、私自身の実践の場である外国人支援でも、参考にしたいと思いました。外国人の特性を企業の方にも伝え、双方が納得しながら就労できるようになれば摩擦が軽減されていくのかもしれないと考えました。
  • 刑余者に一度なると大変な生きづらさを強いられることを知りました。また、そう言いつつ受け入れられない私自身の思考についても知ることができました。共存するに何が足りないのだろう、自分はどうしたら受け入れられるのだろう、と自問自答しております。地道(と、私は感じてしまいました)に一つ一つ実践されている皆さんに敬意の念を抱きました。いつか当たり前に共存できるようになりたいと思いました。犯罪も犯罪後も、その人ひとりの問題ではなく、その都度関わった社会や周囲の責任は大きいのでは?とも思い、さらに辛くなりました。この活動が当たり前に社会で受け入れられ、余っている賃貸住宅や余った食材等の循環が生める社会になりたいと思いました。大変興味深いお話でした。
  • パレスチナにしても刑余者の就職活動にしても、大きな一歩を踏み出され実行されている皆さんに連鎖が起こらず遅々として進まない現状が辛かったです。我々が「普通」だと思っている人こそ、僅かな行動変容や意識を改めることで大きな「うねり」を呼び、一部でしかない過ちによって普通でいられない状況を抱える人々を社会全体で迎える「赦す」社会(地球ほし)でありたいと強く思いました。今後も、もっともっとお話を聴きたいです。
  • 刑余者との面談には抵抗感を拭うことが難しい方が少なくないと思います。活動に踏みきったこと自体が素晴らしいと思います。貴重なお話をありがとうございました。
  • 前科ある方と接触した経験はないのですが、それ自体が思い込みで気付いていないことがあるかもしれないと思いました。罪を犯したことは多様性の時代であってもカミングアウトするには最もハードルが高いのだろうと改めて感じました。社会に居場所を創る支援が大切なのだろうと感じました。
  • 素晴らしい活動だと思います。面談時間を増やすこと、法務省側の考え方に対しても、アドボカシーが必要ですね。
  • 大変なご覚悟と使命感を持って対応されていることと存じます。大変貴重なお話をありがとうございました。
  • 関係者や他地域の方々とも連携され、幅広い支援活動をなさっていることに、分野は異なりますが同じキャリア支援者として、素晴らしいと思いましたし、この困難な支援に取り組まれていることに頭が下がる思いです。(オンライン開催の)画面を通して、お二人の情熱も伝わってきました。話せる範囲は限られるでしょうが、いつか実際の事例についても聞かせていただけたらと思いました。ありがとうございました。

3.ディスカッション(グループワーク、意見交換)

「刑余者のキャリア支援」について考える

  • 人は変化し、成長するという観点が大切」という意見が多く出ました。小学館集英社プロダクション様の取組がユニークでとても良いと思いました。
  • 刑余者のキャリア支援について初めて話を聞きました。小学館集英社プロダクション様が刑余者支援に参入していることも初めて知りましたが、言われてみれば教育分野に強い企業が参入するのは自然なことだと思いました。我々の社会資源が有効活用されることは、少子化・労働人口減少における日本では必須です。そうした事例としても大変勉強になりました。
  • キャリアコンサルタントとしては何とか支援したいと思うけれど、受け入れ側としては偏見や抵抗はどうしてもぬぐえない、身の安全を考えてしまう、というご意見が多く、問題の難しさを考えさせられました。きれいごとではない話し合いができてよかったと思います。
  • 就労できた方、なかなかできない方、再犯した方、再犯しない方、刑の内容、個人と特性、などの因果関係により、支援の方法も本当にいくつも存在するのだろうと感じました。
  • 刑余者の就業を受け入れる企業従業員への支援も必要と思いました。また、管轄官庁の違い(厚生労働省、法務局)が支援の拡大の阻害要因にもなっているのかもしれないと思いました。
  • 皆、どうにかしたいという気持ちと受入れ難い気持ちをもっていました。「大きな一歩」の手前には「意識を変えること」があるとわかり、私たちの職業の課題の大きさを知りました。(これも日頃の問題と地続きだな、と思いました)
  • 自分を含め、偏見について語られる方が多かった印象です。刑余者に限らず、目の前の相談者に対し、無意識のバイアス越しに自分が向き合っていないかどうか、常に意識する必要があると改めて思いました。
  • 世界のキャリア支援日本のキャリア支援を考える機会になりました。定着支援は企業内のことだけではなく、地域で住む・生きる支援を行うことも大事だと感じました。
  • (刑余者と)支援者との信頼関係を結ぶことも容易ではないように思いますが、真摯なキャリア支援が社会復帰に結びついている事実に驚き、感動しましたとてもすごいことだと思います。仕事が決まって社会復帰ができた事例について、もっと知る機会があればとも思いました。
  • 「3つの活動」は素晴らしい。仕事が続かない人への定着支援が大切。また、再犯率が半分(約50%)という事実から「怖さ」を感じる人もいる。社会復帰のための医療的支援も必要で、それも社会へ伝えることで受け入れの安心感も醸成できたらよいのかと思う。

当研究会顧問の下村英雄先生からのコメントです

下村英雄先生

~「刑余者のキャリア支援」について~
 
参加者の皆さんの議論の内容をみて、なるほどと勉強になりました。いろいろな要素はあると思いますが、今回の「社会の側で偏見を伴う場合のキャリア支援」、これは難しいですね。
 
アメリカなどで、人種間の偏見があって、それゆえに「敢えて自分の経歴を出す・出さない」「ヒスパニック系にみえる名前を改名する」などを踏まえてキャリア支援を行って就職させる。そのようなエピソードをみた記憶がありますが、とても強い偏見を持たれてしまうスティグマがある求職者の就労支援は、このような問題があって難しいのだな、と改めて気づかされました。問題の深刻さを改めて認識させられた次第です。
 
今回の実践発表の中で、「アドボカシー」という言葉も含めてくださいましたが、社会の偏見や差別といったものと戦わなければいけない領域なんだな、と思いました。

熱心にご参加くださりコメント等をお寄せいただいた皆様、ありがとうございました!次回は6月29日(土)にオンラインで開催します。皆様とお目にかかれることを楽しみにしています。(社会正義のキャリア支援研究会 事務局)

【開催告知】
第3回 社会正義のキャリア支援研究会 

2024年6月29日(土)10:00-12:30 
オンライン(Zoom)開催

5月初旬に申込開始予定です。
研究会には、各回の単発参加も可能です。
お一人でも、紹介者無しでも、大歓迎です!
キャリア支援の相互研鑽&仲間づくりの「拠り所」として、お気軽にご参加ください☺
多くの方々のご参加を心よりお待ちしております!

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