第4回研究会 開催報告

目次

●キャリア支援者の「拠り所」、「実践」の輪をつなぐ学びの場
今回も全国各地で活躍中のキャリアコンサルタントが集いました!

2024年10月26日(土)、第4回「社会正義のキャリア支援研究会」を開催しました。今回も全国各地から多くの方々にご参加いただき、社会正義のキャリア支援に関する学びを深めました。
開催当日は、下村英雄先生(当研究会顧問)のご講義「第4回 社会正義のキャリア支援研究会 -世界につながる私たちの問題意識-」、横田泰枝さん(東京国際大学 日本語専任講師)による「外国人留学生のキャリア支援」に関する実践発表、グループディスカッションなどを行いました。

「多種多様な場で活動するキャリア支援者のお話を聞くことができ、大変勉強になりました」

【ご参加者から寄せられた感想等の一部です】

  • 参加者の方々の意識レベルが高いので、とても勉強になります
  • キャリアコンサルタントとして現場で活動される方、育成者の方等と出会うことが出来ました。
  • 今回初めて参加しました。下村先生の講義も初めてです。「社会への支援が必要」と考える方々、同じように悩み、社会への視点を大切にする方々と出会えて、ホッとしました
  • 毎回、違う領域のお話を聴くことができ、視野が広がっていく気持ちがしております。
  • 参加者の質が高く、満足しております。
  • 社会正義というキーワードで多様な場で活動するキャリア支援者の皆様にお会いでき、新人キャリアコンサルタントとして今後の道筋を学ばせていただきました
  • (キャリア支援職者ではありますが)キャリアコンサルタントの資格を持っていないため参加を躊躇しましたが、学びの多い時間でした。次回も参加したいと思います。
  • 下村先生の実践的研究と参加者への眼差しが、とても丁寧で優しいと思います。
  • 時間があっという間で、今回も学びにあふれた濃くて楽しい素晴らしい会でした。ありがとうございました!

開催当日の研究会の様子をお伝えします(開催内容、参加者の声など)

今回の研究会で行われた「講義」、「実践事例発表」、「ディスカッション、意見交換」について、当日の発表資料および参加者の皆様から寄せられた感想やコメントから、その一部をご紹介します。

INDEX
  1. 講義 
    「第4回 社会正義のキャリア支援研究会」
     ― 世界につながる私たちの問題意識 ―
    下村英雄先生(当研究会顧問、「社会正義のキャリア支援(図書文化社)」著者)
  2. 実践事例発表 
    「外国人留学生のキャリア支援」
    - 新たな一歩を応援する伴走者としての役割 ―
    横田泰枝さん(東京国際大学 日本語専任講師)
  3. ディスカッション(グループワーク、意見交換)
    参加者による講義・実践発表等に関する意見交換
  4. 次回の開催告知 
    2024年12月21日(土)10:00-12:30

    オンライン(Zoom)開催

1.講義

下村 英雄 先生(当研究会顧問、「社会正義のキャリア支援(図書文化社)」著者)

第4回 社会正義のキャリア支援研究会」
  - 世界につながる私たちの問題意識 -

当研究会顧問
下村 英雄 先生

参加者の学び、気づき、感想など(講義全体を通じて)

  • スタンスや価値観を問題にするのが社会正義のキャリア支援の特徴という、著書でお書きになられていたことへの補足としてお話されていた「支援は支援者の問題意識の範疇を超えないから」という言葉には改めて背筋が伸びる思いがしました。
  • キャリア支援の世界の潮流、今まさに議論されているのが社会正義であること、キャリアへの投資という考えなど、ご講義からは自力では知ることのできない最先端を学ぶだけでなく、毎回大いなる刺激もいただいています。自分では見えていなかったものや何かの存在、社会正義という価値観で私たちの問題意識は世界に繋がっているということも、改めて気づかされました。今回もとても勉強になりました。ありがとうございました。
  • (社会正義は)非常に重要な問題であり、関心は高いところですが、私個人としては何から手を付けていけば良いかで、迷走してしまう自分がいます。本日の批判的理解の開発のお話は答えに近づいた気がしました。一方で、何でも他責にする風潮もあり、やはり難しさは残るかもしれません。本日も話題になったように「日本ならでは」の社会正義の話もあると思います。その辺も考えていきたいと感じました。
  • 「社会正義」というと、「何か大きなことを成し遂げないとならない」と考えてしまっていましたが、「自分の活動領域でできることをやっていく」ということで良いのだ、と改めて認識しました。
  • 全米キャリア開発協会(NCDA:National Career Development Association)が主催する「NCDA2025」の挨拶文で公民権運動や奴隷解放記念日について言及があるというご紹介や、その後の日本においては広島の被爆者運動が一つのテーマなのではないかというお話は大変刺激的で、自分自身でも考え続けたいと思ったお話でした。Investing in career guidanceのお話も現在人材育成に関わる身として今後調べていきたいと思ったテーマでした。
  • 欧米でのDEI、社会正義やアドボカシーについての枠組みについて、わかりやすく整理して理解することができました。
  • 欧米の現状を知ることができました。欧米では、理論(社会正義の価値観等)と現状(戦争、紛争、人種問題、移民問題等)の乖離が広がってきているように感じました。その中で、日本の立ち位置をどうしていくべきかについて皆さんと深掘りしたかった。最新情報を提供いただき、勉強になりました。ありがとうございました。
  • 社会正義の価値観から日本の立ち位置について、皆さんの考えを聴きたい。私は、世界初の被爆国となった日本だからこそ伝えられる「核戦争の恐ろしさ、平和の大切さ」をIAEVGやNCDA大会で発表できないかを考えたいです。ノーベル平和賞を日本原水爆被害者団体協議会が受賞した今こそ、グットタイミングなテーマだと思います。

  • 本日のご講義ありがとうございました。欧米のキャリア研究の潮流では、米国の奴隷解放、欧州のDEI、サステナビリティ等があると教えていただきました。日本でも人権やコンプライアンス等で社会正義に配慮したキャリア支援が進みつつあると感じますが、先生が最後にお話された就職活動や就労慣行は社会正義の配慮が少ないという点も同感です。啓発活動や研究発表は増えていると思いますので、今後もより多くの方に知っていただく事が必要だと感じます。そのために、キャリアコンサルタントが支援のみならず啓発活動を行うことが必要だと感じます。
  • 日本の社会正義(の視点)として「戦争と平和」があること、また、「社会正義の立場では、まず弱い立場にある人を助ける」というお言葉は、とてもありがたいものです。キャリアコンサルタントは、そのような活動ができる資格であることも社会に周知されるように、最も社会正義が必要とされる人々に対する活動者を増やすことも大切だと感じました。
  • (社会正義に関して)日本の課題は人権だと感じています。LGBTQ、障碍者、外国人などに対する偏見・差別、ハラスメントやいじめなど人権意識の希薄さが大きな原因ではないでしょうか。
  • 私は、日本を誇りに思っておりますので、日本の長い歴史、独自性ある文化と伝統、そこから生まれた価値観など、私たち日本・日本人ならではの社会正義があると思っています。自分でも楽しみながら考えてみます。
  • 「社会正義のキャリア支援は、支援者自身のスタンスや価値観を問題にする。なぜなら、キャリアコンサルティングは支援者の問題意識の範疇を超えられないから」という下村先生のお言葉と、移民バックグラウンドへのキャリアガイダンスの実践例の一つにある「批判的理解の開発」という指摘が印象に残りました。グループディスカッションでは、「自己責任論で無力感に陥っている人をエンパワーするのが大事では」という話がでており、環境への働きかけができればもちろん良いが、その前にまずは「個人の悩みとしてだけでなく社会全体の問題としてきくこと」、その上で自分(だけ)のせいではないという批判的理解をしてよいのだ、と『社会正義のキャリア支援』で言われている」ということを、悩める当事者に伝えるだけでも、エンパワーできうることにも気づかされました。まさに「自分の持ち場で、自分ができる範囲で、自分なりに、社会正義の貢献に実現する」ですね。
  • 下村先生のご講義にあった「移民バッグラウンドによる不平等」の話に興味を持ちました。日本は2019年の「出入国管理及び難民認定法」改正で既に後戻りはできない状況かと思います。高度人材ではない単純労働者の受け入れは、日本の深刻な労働力不足を補うための選択肢として外すことができなくなっています。今日のお話にあった諸外国の移民バックグラウンドの問題は、近い未来の日本の状況でもあると思います。今でも、親に呼び寄せられた子供たちが日本語は話すことはできても学力がついていかない、永住権や日本国籍があるので「留学枠」での進学もできない、その結果、良い職を得ることができない等の問題はあります。また、親の難民特例により日本で育ってしまった子供が、母国語が話せないので自分の国に帰れない、義務教育が終わると学校に通うこともできない、親の在留資格が切れると、所謂「もぐる」という状況になり国民健康保険にも入れず病院も行けない等の厳しい状況があるといいます。その他にも、外国人に関する問題は挙げ出せばきりがありません。受け入れないという選択肢は既になく、増え続ける外国人の多種多様な問題に、それぞれの持ち場での支援をしていくしかない状況だと思います。その際に、特にこの分野においては「公平性、多様性、包摂性」ということが重要になってくるのではないかと、今日のお話を伺って感じました。
  • 障害のある人のキャリア支援を行っている私は、障害者雇用の現場で、障害のある方々の特性と職場環境(物理的・人的)との相互作用によって生じる多くの課題に直面しています。そのため、支援内容は個別性が高く、私の支援が最適であるかどうか悩むことも少なくありません。そのような中、下村先生から障害者のキャリア支援で有効な取り組みが、他の人のキャリア支援として広がることがある」とお言葉をいただき、大いに励まされました。
  • キャリアカウンセラーの社会的な存在意義が高まっていることを確信しました。キャリア支援から見える社会課題に対して、キャリアカウンセラーの職能団体としてのアドボカシー活動への取り組みについての状況や方向性について伺いたいです。
  • 日々の支援者としての活動の中(企業領域)において、社会正義について考えや意見を交換する機会が殆ど生じない中、いつも下村先生からのお話や情報提供が新鮮です。「支援者としての成長」という観点から、この社会正義に向かい合って、個々人が一人の支援者として何が出来るのかを考えることの大切さを改めて感じました。

2.実践事例発表

横田泰枝さん(東京国際大学 日本語専任講師)

「外国人留学生のキャリア支援」
- 新たな一歩を応援する伴走者としての役割 ―

参加者の学び、気づき、感想など(実践発表全体を通じて)

  • 発表の最初に基本的なデータを紹介していただき、発表後半では現場での貴重なお話をありがとうございました。
  • 横田先生、本日はありがとうございました。日本語教員かつキャリアコンサルタントでいらっしゃることで外国人留学生のために尽力され、とても尊敬します。
  • 私自身が携わっている支援は「就労してからの支援」になることに対し、横田さんはその前段階のご支援になると思います。その部分での大きなご苦労が鮮明に伝わって参りました。貴重なお話を聞くことが出来ました、有難うございました。
  • ご発表ありがとうございました。横田先生ご自身のキャリアの変化に応じて自分自身を変化させていく、柔軟なキャリア形成に魅力を感じました
  • 日本における外国人留学生という定義がとても広く、一部では「移民」的な捉え方も支援者としては必要ではないかと感じました。対象となる「留学生」によって、その支援に必要なスキルや取り組み姿勢なども大きく異なってくるのではないかと考えます。自分は自分なりにその部分を再度明確に捉えることで、対象の方にとって適切かつ有益な支援が出来る存在になりたいと感じました。
  • (私自身は)外国人材の採用に取り組む企業様の支援に携わっていますが、学生側の支援について知ることができました。
  • 現場のリアルな経験を共有いただき、たいへん有意義な発表でした。ありがとうございました。
  • 問題に近寄りすぎず俯瞰しすぎず、距離感をもって判断されている説明が素晴らしかったです。
  • これらの課題は留学生支援だけでなく、企業(少子化、DEI実践など)、社会(市民生活、学校、年金)などを巻き込んだ課題であり、各分野のキャリアコンサルタントが連携して切磋琢磨していくことが重要と考えました。
  • 留学生の現実(裕福な留学生、苦学生)を私も耳にしています。少しずつでもこの現実を変えていけたらと思います。私は微力ですが、やれることをして働きかけたいと思います。
  • 外国人労働者には、採用時には職務記述書(マニュアル化等)を明示し、導入訓練ではコミュニケーションの取り方等をロールプレイによって実践できるようにすることが大切だと感じました。受け入れる日本の企業が職種の明示と導入教育をきちんとできれば、もっと多くの留学生が日本企業で働くことができると思います。学校側が日本企業に対して、このような先行事例を紹介し、広げていくことも大切だと感じました。また、円安は留学生にとって日本企業就職の魅力がなくなる一因です(祖国の家族に収入の一部を送金している方が多い)。円高になるように、国と日本企業の努力も必要です。
  • 「外国生活のリスク」というものを留学前に情報提供できないかと思いました。私も外国生活をしていたので、いかにリスクマネジメントをするかを考えながら生活していました。外国暮らしは甘くありませんので、その現実を留学前に周知できたらと思いました。
  • 横田先生のご発表から、外国人留学生へのバイアスの無い支援の必要性を学びました。日本語検定1級を取得することによって高収入を得られ、より日本社会に同化する仕事を得たとしても、本人の希望や幸せに繋がるとは限りません。幸せや人生の価値観は人それぞれであるのに、外国人留学生がゆえに学費支払や生活費のため過酷なアルバイトに手を出し、お金に翻弄されるのは本末転倒です。技能実習生制度も根本的には、日本で技術を学び、その後帰国して本国で技術を生かしてもらうための制度でしたが、様々な問題が発生し、育成就労制度に変わりました。キャリアコンサルタントとして、外国人留学生や育成就労制度等、外国人問題を知らない人々に啓発活動や交流会等を設け、理解を深めていただく機会を創出する役割もあるのかもしれません。
  • 多少の差はあっても、今の日本で外国人に関わっていない人はいません。多文化・多様性を普段から意識する必要があると感じました。
  • 私は直接外国人留学生の支援に関わることはありませんが、最近は賃金が安い日本には本当に優秀な労働者は来なくなっていることもあり、外国人労働者が増えることで起こりうる社会問題もクローズアップされているようです。本日のお話の中で私が思ったことは、いろいろあるにせよ、実際に困っている目の前の外国人留学生の支援を考えることが、個人レベルでやっていくべきことなのだということです。

・支援実践者としての貴重なお話をありがとうございました。日本語の先生がキャリアコンサルタントでもあるということは、学生には有り難いことです。厳しい現実に直面している留学生がいることは想像に難くないですが、異国に暮らすことは様々なリスクを伴います。外国生活のリスクマネジメントについて留学前に知っておいて欲しいと思いました。私も、日本にいる外国人に対して「やさしい日本語」を実践します。

・私は以前、民間企業の就労支援として日本語学校卒業生との面談を行う機会があったため、「一文を短くする」、「絵や図を描く」、「留学生の思考を言語化する」というノウハウは具体的で大変勉強になりました。今後また関わる機会が持てた際はぜひ参考にしたいと思いました。また、新聞配達を行う学生の事例からは、異国の中で学業とアルバイトを両立する困難さがとても伝わってきました。

・つい先日、外国人のエントリーシートの作成をお手伝いしました。かなり話せる方でしたので、私は意識することなく普段通りに話していたのですが、もしかしたら理解が追い付いてなかったのかもしれないと改めて感じました。今後、「やさしい日本語」を意識しようと思いました。

「やさしい日本語で傾聴・受容・共感」の3つのキーワード、特に「曖昧な表現をさけ、一文を短くする」ということは、発達障害者のキャリア支援にもつながると思いました。

日本において外国人留学生はマイノリティとしての存在であり、複合的・交差的な困難を抱えていることは重要な課題であり、具体的に理解することができました。

・私自身も留学生のキャリア支援をずっとやってきていますので、そうは単純に割り切れない様々な事例を見てきました。その上で思うのは、正確な情報が行き届くこと、望む道が何であれ可能性は開かれているべきなのではないかということです。今の制度ではなかなか制約が厳しすぎて、花売りは花売りから抜け出せないというのが現実で、多くの場合夢すら見られないということだと思います。そのような中で支援者としてどうあるべきかということは、難しい問題だと改めて思いました。

目の前のこの人が、何を本当に願っているのか支援者が自分の認知の枠組みや囚われを自覚して関わることの大切さを改めて痛感しました。

自分の知識ではなく、背景を知ろうとすること。情報を伝えること。その人の価値観とニーズを大切にすること。常に忘れないようにしたいと思います。

・私はキャリアコンサルタントで、現在、日本語教師になるための勉強をしています。日本語教師が先で、その後キャリアコンサルタントを取得された横田先生の話をお聴きすることができて、とても学びになりました。

支援者が単独で対象者を支援できることには限界があると思います。特に、留学生が学びを深めた後、「就労」を通じてこの国で生活を安定させていく上で、我々キャリアコンサルタントは専門領域を跨いで、就労前と就労後の支援を行うにおいて「連携」が重要だと考えますが、この連携を構築する存在が少ない、居ない状況ではないでしょうか。「キャリコンが行いたい働き掛け」のひとつとして、それをどうしていくのかを考える機会も必要ではないかと感じています。

3.ディスカッション(グループワーク、意見交換)

  • グループディスカッションでは、需給調整機関、NPO、教育機関等に勤務する方々と意見交換することができました。現場でキャリアコンサルタントとして活動される方、育成者の方等と出会うことが出来ました。
  • グループディスカッションでは、「社会正義等のスタンスがキャリアコンサルタント個人に有るかどうかが問われる」、「社会正義を周知するために仲間を増やす」等の意見が出ました。また、「外国人の問題を知らなかったので、まず知ることから始める」、「外国人・日本人問わず、バイアスの無い支援が重要」という感想もありました。多種多様な場で活動するキャリア支援者の先輩方にお話を聞くことができ、大変勉強になりました
  • グループディスカッションでは、実践発表者の横田さんとご一緒することができました。横田さんからラポール形成のTIP(コツ、秘訣)としてお聞きした「一人ひとりに興味を持ち、例えばその留学生の国の料理を食べてみることや、好きなアニメを見ること」には、今回のテーマであった留学生に限らず、様々な支援対象者との関わりにおいて大切な姿勢や行動であると感銘を受けました。
  • 私はハローワークで働いています。グループディスカッションでは、「外国人を差別してはならないということに目が向きすぎて、目の前の相談者と純粋に向き合えていないのではないか」、「相談者が求めている支援になっていないのではないか」などの意見を述べました。
  • グループディスカッションでは、「政治の話は普通のことなのに、話すとひかれてしまう。普通にみんなが話し合えたらよいのに」というご意見がありました。私も、時事ネタや日々の政治トピックを普通に話せるキャリアコンサルタント仲間がもっといたらいいな、と思います。
  • 社会正義の価値観から日本の立ち位置を考えた場合、「被爆国として核戦争の悲惨さ、平和の大切さを訴えていくことが大切」だとグループディスカッションで話をさせていただきました。ディスカッションの後、下村先生がこの話題を取り上げてくださり、嬉しかったです。被団協(日本原水爆被害者団体協議会)がノーベル平和賞を受賞した今こそ、声を大にしていきたいと感じました。
  • 参加者の皆様の日々の実践に基づくエピソードや考えが多く、大変刺激的な場でした。「Social JusticeやSDGs等、欧米由来の理念を日本にきちんと浸透させるためにはどうすれば良いか」という課題意識や、「キャリアカウンセリングに言及する政治家の少なさ」、「キャリアコンサルタントの政治家が出て欲しい」といったコメントがあり、自分自身も今後考えていきたいと強く思いました。

当研究会顧問の下村英雄先生からのコメントです

下村英雄先生

    ~ 今回の研究会について ~
 
 グループディスカッションでも出ていましたが、「外国の方、移民のような方が、日本国内でこのまま増えて良いのだろうか」という、ためらいがちょっとありますよね。我々は日本人で多文化に慣れていない面がありますから。
 この問題は、実は欧州のキャリアガイダンス論でも見え隠れしているんです。欧州も基本的にはウェルカムで移民を受け入れようとしてきましたが、ちょっと増え過ぎて、反省が生じている面があります。 その際の「社会正義のキャリア支援」のスタンスは、「(移民を受け入れることの)良し悪しそのものは問わない」です。「移民が増えることそのものの良し悪しは他の人たちの議論に任せよう」、「ただ、現に来てしまっている時に、やはり何らかの形で支援は必要だろう」というスタンスです。移民が増えているので、ヨーロッパは明らかに苦しんでいる。でも、「だからどうだということは、キャリアガイダンスの範疇ではない」と考えている感じがします。
 外国人の方や移民の方が実際に来てしまっている時に、放っておけない、放っておくわけにはいかない。だから、何らかの支援をしようその裏には、ちゃんと就職したりしないと中には身を持ち崩してしまう移民の方や外国人の方もいるから、社会に馴染ませてあげなきゃいけない、という実理的な側面もありますが、それが社会正義を「キャリア支援」で実現するというスタンスだな、と思いました。

 そして、アメリカの奴隷解放、ヨーロッパの移民問題のように、「日本ならではの社会正義とは何か?」を考えると、やはりノーベル平和賞を受賞した「ヒロシマ」ですよね。国際的な広がりを持って、海外においても社会正義の文脈で理解してもらえる日本の歴史的出来事となると、やはり戦争の悲惨さです。戦争とキャリアガイダンスの繋がりも欧州キャリアガイダンスでは盛んに論じられますし、日本は世界で初めて核爆弾の被害を受けた国ということもあり、「ヒロシマ」ではないかと思い当たった次第です。

研究会の振り返りやコメントをお寄せいただいた皆様、ありがとうございました!
次回は12月21日(土)にオンラインで開催します。(お申込みはこちらから
皆様とお目にかかれることを楽しみにしています。

(社会正義のキャリア支援研究会 事務局)

【開催告知】
第5回社会正義のキャリア支援研究会 

2024年12月21日(土)10:00-12:30 
オンライン(Zoom)開催

【研究会参加】お申し込みはこちらをクリック!(Peatix)

研究会には各回の単発参加も可能です。
お一人でも、紹介者無しでも、大歓迎です!
キャリア支援の相互研鑽&仲間づくりの「拠り所」として、お気軽にご参加ください☺
多くの方々のご参加を心よりお待ちしております!

(第6回研究会は2025年3月22日(土)にリアル対面開催します。詳細は追ってお知らせします!)

過去の研究会<開催報告>は、こちらからご覧いただけます

主宰:SJキャリア研究所

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